針山地獄からこんにちは

着物縫ってます。宇宙行って無重力ファッションショーしたいです。

人の命は着物より軽い

 八月ももう終わりが見えてきましたね。夏の着物も今年は後何回着られるかというところです。夏の着物といえば太宰治の短編「葉」の一節を思い出します。

 

死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。

 

 結局主人公は夏まで生きてこのお年玉の着物を着たのかどうかは書かれていません。けれど最後にどうにか、なるといって終わっているのでどうにかなってこの麻の着物がちゃんと着られていればいいと思います。しかし実にくだらないですね。ダイエット成功して痩せたら着るからといって洋服を捨てずにとっておく人はいると思いますが、くだらない行為ですよね。夏になったら着物着るから命とっておこう、というのも同じくらいくだらないのです。かと思えば落語「品川心中」で花魁のお染は

 

お染も寄る年波にゃあかなわない 移り替えの着物を買ってくれる客もおらず

こんな悔しい思いをするんなら、いっそ誰かと心中しよう

 

 と衣替えの着物がないからと他人まで巻き込んで死のうとします。たかだか着るもののために生き死にが左右されるのです。本当にくだらないですね。けれどそういうものなのです。生きるために着るのではありません。着るために生きるのです。

 

糸之舞(しのぶ)

 

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