針山地獄からこんにちは

着物縫ってます。宇宙行って無重力ファッションショーしたいです。

靴を買うならこんなふうに

 着物を着るときは草履や下駄ばかりはいているので、最近はおしゃれな靴屋さんに行くことも少なくなってしまいました。靴を買うのは好きなのですが、これを買ったところで合わせる洋服が無いしなんて考えてしまいます。着物にはまり、ワードローブが和服に侵食されるようになるとだんだん洋服がダサくなっていく傾向があるそうですが、私もその例にもれません。よっぽどお金かセンスか収納場所かあるいはその全部がないと、洋服も着物もシーンに合わせてかっこよく決めるなんて離れ業はできないのです。センスは生まれつきのものもあるので諦めるとして、いつかお金と収納場所のことを気にせず思い切り好きな洋服や靴も買ってみたいものだと思います。いつになるか分かりませんが。そしたらまずはハイヒールを買います。ハイヒールが好きなのです。ハイヒールを買うにあたって、どうやって選んだらいいかというお話です。

 山田詠美の小説「ひざまずいて足をお舐め」でSMクラブの女王様たちが買い物に行くくだりがございます。女王様たちは靴屋さんで、あの靴かっこいい、あら、ちょっと高すぎるわよ、どうせ舐めさせるだけなのになんてことをおっしゃって店員さんをぎょっとさせます。このインパクトが強すぎて、このあと靴を買いに行った時に、ついつい舐めさせるための靴を買うならと考えてしまいました。そういう目で靴を見てみると、これはきれいだけれど舌を這わせるならこの飾りが邪魔、こっちのは形はいいんだけど革の表面がすごく不味そうでいくら奴隷といえども舐めさせるのはかわいそう、これは靴の裏側の色が残念、奴隷は靴の裏まで舐めまわすのですもの、裏にまで気を遣わなくてはなどと考えてしまい、靴というものがいつもとは違って見えて来るから面白いのです。私には奴隷なんていませんけれど、女王様の気分になって靴屋さんを見回すと、いつもとは違う世界に見えました。

 小説の主人公のちかは、ひざまずいて足をお舐めって言える人は、ひざまずいて足を舐めさせてくださいって言える人でもある、私はどちらも言える人間でありたい、人間の内のSの要素とMの要素とか、繊細な感情と乱暴な感情がどんなふうに組み合わさっているかとかそういうことが解っていないのはうんとつまんない人じゃないかと思うと語っています。私はSMの趣味はありませんし、人の足を舐めたり舐めさせたりということには縁がないとは思いますが、実際やるかやらないかは別としてどちらも言える人間でありたいと思ったものです。つまんない人間にはなりたくないですね。

 最後にちかは作家デビューして賞をとり、受賞のパーティーが開かれるのですが、そのパーティーに女王様をやっていたときに散々奴隷に舐めまわさせた靴を履いて出席します。これが一番、足が綺麗に見えるのよ、なんて言ってあっけらかんとしております。舐めさせるために買った靴が一番自分を綺麗に見せてくれるという大どんでん返しが最後にあるのが大好きなのです。

 

糸之舞(しのぶ)

 

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