針山地獄からこんにちは

着物縫ってます。宇宙行って無重力ファッションショーしたいです。

飛ぶ着物

 私は今では和裁をやっておりますが、高校生の頃は気違いのようにレースを編んでおりました。本当はボビンレースがやりたかったのですけれど、田舎ではなかなか道具も教本も手に入らないのでかぎ針編みをやっていました。かぎ針編みは左手の人差指に糸をかけてぴんと張りながら編んでいくのですけれど、最初のうちは力加減がわからないので強く引きすぎ、レース用の細い糸が指に食い込みます。長時間編み続けていると摩擦で皮膚が裂け、血が滲んできます。それでも完成させるまではやめられないので人差し指に絆創膏を貼ってひたすら編み続けます。そんなことを続けていくと頭がいかれてくるのでしょうか、痛みも疲れも消えてレースの世界にのめりこみ、気がつくと母が私がレース編み以外のことは何もしないと言って怒っておりました。

 ボビンレースの最盛期、18世紀の頃の職人は、あまりに長時間レースを織るので目を痛めたりリューマチになったりしていたそうです。もちろんお金のために必死だったのもあるのでしょうけれど、完成させるまで織るのをやめられない、レースの魅力にとりつかれてしまった人もいたのではないかしら。レースには魔力があるのです。

 レースといえば思い出すのが、萩尾望都の短編「ハワードさんの新聞広告」です。ハワードさんというお金持ちのおっさんが、飛ぶ子どものジルをお金で買います。お屋敷に訪ねて来た伯爵夫人と伯爵令嬢にハワードさんは

 

この子にはレースの服を着せて

わしのバースデーにみんなに公開するつもりです!

 

とジルを自慢します。伯爵夫人が答えて言うことにゃ

 

ま!レース!

そう まさに飛ぶ子のイメージですわ!

 

だそうです。人間を金で買って自慢したりされたりするという悪趣味な連中ですが、飛ぶ子どもにはレースというセンスだけはしゃれています。褒めてつかわす。そうです、飛ぶならレースなのです。

 宇宙で無重力空間に入ったら、飛んでいるようにも見えるでしょう。飛ぶファッションショーです。そうしたらレースの着物を仕立てて、モデルさんに着てもらいましょう。きっと素敵です。着物にするには最低でも一反、約13メートルのレースが必要です。大量に必要になりますね。ケミカルレースもいいけれど、やっぱりボビンレースがいいのです。大量に発注して、たくさんの人に織ってもらいましょう。レースの魔力にとりつかれ、体調を崩す人が続出です。ですが私が悪いのではありません。レースの世界が魅力的すぎるのがいけないのです。現代のレース職人さん、18世紀の職人さんに負けないように、頑張って織ってくださいね。

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糸之舞(しのぶ)

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