針山地獄からこんにちは

着物縫ってます。宇宙行って無重力ファッションショーしたいです。

明日海りおとカラコン

 暑いので引きこもって宝塚の「ポーの一族」のDVDを観ておりました。私は小学校の頃に萩尾望都にはまって以来、人生の半分以上は萩尾望都を神と崇めて生きております。そんな私を宝塚と言えど満足させられるのか、という不遜極まりない態度でしかしどうしても気になって購入してしまったDVDなのですが、買ってよかったです。明日海りおがエドガーすぎて尊くて涙があふれました。

 小学館文庫版のポーの一族の1巻には、今回の宝塚版ポーの演出をなさった小池修一郎の解説が載っており、宝塚でポーをやりたいが難しいということが語られていました。宝塚の男役は背が高いので少年をやらせるには大きすぎるのだそうです。それを読んで、たしかに主人公の幼少期なんかは娘役さんが少年に扮してやっていたりする宝塚ですもの、少年のキャラクターを主人公にしてトップスターにやらせるのは無理があるのだろうなと思い残念ですがしょうがないですねなどと思っておりました。思っていたら奇跡が起きていたのです。明日海りおもけして背が小さくはないのでしょうけれど、ものすごい演技力でカバー、まったく気にならずに永遠の時を生きるバンパネラの世界にどっぷりと浸っておりました。こんな奇跡が起きると分かっていたなら宝塚に入っていたのに、もし花組に配属されていたらこの舞台に立てたのに、人生を間違えてしまいました(嘘です無理です入れるわけがありません)。

 そして演技だけでなくビジュアルの作りこみもすごすぎます。タカラジェンヌさんはいつからカラコンを使うようになったのでしょうね。目が青い。このめちゃくちゃ発色のいいカラコンはどこのでしょうか。私は着物にはまる以前はロリータもどきやヴィジュアル系もどきの格好をしていたので、お化粧もそれに合わせて当然カラコンもしておりました。そういうわけでカラコンには少しうるさいのです。発色の良さと、その人がその色のカラコンを使いこなせているかはついつい気になってしまいます。カラコンは今やお手軽なファッションアイテムになりましたが、本来は目の色という生まれ持ったものを無理やり捻じ曲げてしまう恐るべき力を持った文明の利器なのです。そんな恐るべきアイテムを本当に使いこなせている人間は、これは私の主観ですが、たとえ芸能人であってもほんの一握りであるように見受けられます。

 目は心の窓といいます。よく磨かれて一点の曇りもないガラスのはまった窓は確かに美しい。そんな美しいガラスに似た澄んだ目の持ち主はきっと心も綺麗だろうと思わせてくれます。実際に目の綺麗な人は心も綺麗なことも多いでしょう。カラコンが男受けが悪いと言われている理由もここにあるような気もします。どういう目なのか分からないとその人がどういった心の持ち主なのかについて見当のつけようがないのです。美しい裸眼が磨き抜かれた窓ガラスだとすると、カラコンはステンドグラスです。どこかに通じるための窓としての本来の役割を完全に放棄し、ガラスの色合いのみを眺めて楽しむものです。カラコンをはめた目をいくら見つめても、その先の相手の心は全く見えはしないのです。したがってカラコンを装着する者には私の心など見ていただかなくて結構、美しい色合いだけを見て下さいという開き直りが要求されます。その開き直りが出来ていない人間のいかに多いことか。そんなカラコンの使い方は美しくないのです。ステンドグラスを鑑賞しているときに、この色とりどりのガラスの向こうにはいったいどんな景色があるのかなんてわざわざ考えたりしないでしょ。ただただ色ガラスに差し込む光の妖しい美しさだけを楽しむ。そしてそれはとても軽薄な行為なのです。そんな軽薄さを引き受ける覚悟がない者はカラコンを装着すべきではありません。

 カラコンは目に悪いとか日本人には似合わないからつけるなとか簡単にいう人がおりますが、そんな人は軽薄さから生まれる美に対する感受性が無いだけです。シカトしてしまいましょう。カラコンにどうしても心惹かれる人間、軽薄な美に魅せられてしまう人間とは美意識のあり方がはなから違うのです。どうしてもカラコンをつけたいのでございますという方には、青いカラコンをした明日海りおを一度ご覧になっていただきたく存じます。青い目をした明日海りおのエドガーの妖しい美しさと哀しさのなかに、どこかばかばかしいような開き直りを感じ取れるのではないかしら。本当に恐ろしい男役さんがいらしたものです。同じ人類とも思えません。

 宝塚にはまる人というのを若干冷めた目で見ていましたが、ちょっと気持ちがわかりそうで怖いですね。DVDしか観てないのにね。

 

糸之舞(しのぶ)

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