針山地獄からこんにちは

着物縫ってます。宇宙行って無重力ファッションショーしたいです。

輪廻転生

 うんざりするほど暑いですね。こうも暑いと化粧が崩れます。この間などは気付かぬうちに眉毛が片方なくなっておりました。暑さによる被害は眉毛の消失だけにとどまりません。汗で日焼け止めが流れ落ち、半襟がとにかく汚れます。面倒でもまめに半襟を替えなければなりません。せっかくしょっちゅう替えるのですから、いろいろな半襟を楽しみたいものですね。

半襟といえば、谷崎潤一郎の「痴人の愛」に素敵な半襟と着物が出てきます。痴人の愛には様々な着物や洋服が出てきますが、この着物の描写が特に素敵なのです。

 

 中でもナオミが非常に好きで、おりおり戸外へ着て歩いたのに、繻子の袷と対の羽織がありました。繻子と云っても綿入りの繻子でしたが、羽織も着物も全体が無地の蝦色で、草履の鼻緒や、羽織の紐にまで蝦色を使い、その他はすべて、半襟でも、帯でも、帯留でも、襦袢の裡でも、袖口でも、袘でも、一様に淡い水色を配しました。帯もやっぱり綿繻子で作って、心をうすく、幅を狭く拵えて思いきり固く胸高に締め、半襟の布には繻子に似たものが欲しいと云うので、リボンを買ってきてつけたりしました。

 

 これを読んでしまうと今持っている半襟だけでは物足りず、半襟になりそうなよさげなリボンはないかと手芸屋さんに出かけてしまうのです。リボンを見ていると、このナオミのようにリボンの半襟と合わせる着物の表地と裏地、帯にする布が欲しくなる。色を合わせて帯留も作りたくなってレジンコーナーを物色する、そうこうしているうちに手芸屋さんに入り浸ったままあっという間に日が暮れます。109やルミネには一日中いられないけれど、手芸屋さんには丸一日いても時間が足りません。それに、店員さんが話しかけてこないのがよいのです。私は人に話しかけられると気が散るので、じっくり自分が気に入るものを探すことが出来ません。店員さんとおしゃべりしながら選ぶと、家に帰ってから買わなきゃよかったと後悔することになってしまいます。店員さんがあまりにもかわいいとか話が面白いとかいうことがあれば、あとあと後悔することを覚悟でおすすめの洋服を買ってしまうこともありますが、やはりすぐに売ってしまいます。だったら断れよって話ですが、これはもうお布施みたいなものだと割り切るしかありません。本気で服を買う必要がある時は、感じの悪い客になることを覚悟で店員さんを完全にシカトして気に入るものを探します。二兎を追う者は一兎も得ずとはよく言ったものです。店員さんとおしゃべりを楽しむことと、本当に気に入るものを購入することは私の中では同時には成し得ないのです。だからって試着もせずにネットで探すとさらに似合わないものを買ってしまい悲惨なことになります。服を買うって難しいですね。手芸屋さんにさんざん入り浸って気に入った材料を買い、自分で着る物は全部自分で作れれば一番良いのですが、私も現代人のはしくれ、そんなに暇じゃないのです。

 洋服でも着物でも、自分で仕立てるなら仕立てるなりの楽しみもあるものですが、もし来世があるのなら店員さんと楽しくおしゃべりしつつ気に入るものを購入できるコミュ力の高い人間か、いっそのこと裸族に生まれたい。そうでなければ生まれ変わりたくないと考える今日この頃です。

 

糸之舞(しのぶ)

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