針山地獄からこんにちは

着物縫ってます。宇宙行って無重力ファッションショーしたいです。

ハイカラっていいな

 ハイカラとはなんぞや。もともとはhigh collarで丈の高い襟のことだそうですね。明治のころ洋行帰りの議員たちが高襟服を着用していたのをからかってハイカラー党などといったことから西洋かぶれをさす言葉になったのだとか。

 今でも留学帰りなどで外国にかぶれている方は痛い人扱いされるものですが、同じ痛い人扱いでもこのハイカラという響きにはなぜだか情緒があるような気がいたします。

 その情緒に魅せられたのは谷崎潤一郎痴人の愛を読んだのがきっかけでした。

 

「この着物はよく似合うね、誰に縫ってもらったの?」

と、暫く立ってから私は云いました。

「おッ母さんが縫ってくれたの」

「内の評判はどうだったい、見立てが上手だと云わなかったかい」

「ええ、云ったわ、―悪くはないけれど、あんまり柄がハイカラ過ぎるッて、―」

「おッ母さんがそう云うのかい」

「ええ、そう、―内の人たちにゃなんにも分かりゃしないのよ」

 

この譲治とナオミの会話にきゅんときてしまいました。悪くないけどハイカラ過ぎると文句をいいながら娘の着物を仕立ててあげるおッ母さんにも、なんにも分かりゃしないとぼやくナオミにもときめいてしまいます。きっとこの時代には本当にこんな会話がなされていたのではないかしら。それじゃハイカラ過ぎるからよしなさい、いいえこれくらいなんてことないわよ、お母さんはなんにも分かっちゃいないのよというふうに、着物をあつらえるにあたって母と娘のバトルが繰り広げられていたのではと想像してしまいます。

今時はとにかくいろんなファッションの方がいますから、どんな格好をしていようとハイカラだねなんて言われることはまずありません。そもそもハイカラなんて言葉がもう死語の域。ハイカラという言葉が生きていた時代に生まれてみたかったものです。そしていろいろな生地を矯めつ眇めつしながら、これじゃあまりにもハイカラすぎるかしら、これくらいなら私にも着こなせるかしらと延々と迷ったのちやっとこさお気に入りの生地を購入し、これを着たら素敵なハイカラに見えるかしらとわくわくしながら仕立ててみたいものだと思います。

 

糸之舞(しのぶ)

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